【徹底解説】ヘッドアンドショルダーズボトムとは?──トレンド転換を知らせる“反転のシグナル”
チャート分析を学ぶ中で、一度は聞いたことがある「ヘッドアンドショルダーズ」。天井を示す「トップ型」ばかりが注目されがちですが、実は底値圏からの上昇転換を示唆する“ボトム型”も非常に強力なサインです。
この記事では、「ヘッドアンドショルダーズボトム(H&Sボトム)」の構造、投資家心理、実戦活用法までを深掘りしていきます。
■ ヘッドアンドショルダーズボトムとは?
上昇トレンドへの反転を示すチャートパターンで、「逆三尊(ぎゃくさんぞん)」とも呼ばれます。
構成は以下の通り:
- 左肩(Left Shoulder): 一旦下落して底を打ち、反発
- 頭(Head): 左肩よりも深く下げた後、再び反発
- 右肩(Right Shoulder): 左肩に近い位置で下げ止まり、上昇へ
- ネックライン(Neckline): 2つの反発高値(左肩→頭、頭→右肩)を結んだライン
ネックラインを上抜けした瞬間に、トレンド転換のシグナルが点灯します。

■ なぜこのパターンが重要なのか?
H&Sボトムは、単なる形ではなく、「売りの勢いの弱まり」と「買いの台頭」が視覚的に確認できる重要なパターンです。
投資家心理の変化を整理すると:
- 左肩: 売りが強く下落するが、一定水準で買いが入る
- 頭: 一時的に売りが加速するが、安値での買いが増え始める
- 右肩: 安値を更新できず、「底打ち感」が市場に広がる
- ネックライン突破: 押し目買いや短期筋の買いが一斉に入り、急騰へ
この心理の“転換点”が、H&Sボトムの真価なのです。
■ 実際のチャートでどう見抜く?
見極めのコツは以下のとおり:
- ネックラインが斜めなら信頼度はやや下がる
- 右肩の安値が左肩より明らかに低い場合は、まだ底固めが不十分
- 出来高がネックライン突破時に急増しているか確認
- 時間軸:日足〜週足の方が信頼性が高い
また、“逆三尊は成功率が高い”と言われるゆえんは、上昇余地が大きく、利幅を取りやすいからです。
■ エントリーポイントとターゲットの出し方
王道の戦略は以下:
- 買いエントリー: ネックライン突破後に明確な陽線 or 出来高増加を確認してエントリー
- 損切り: 右肩の安値を少し割り込んだところ
- ターゲット:
- 「ネックライン − 頭の安値」=上昇目標幅
- それをネックラインに加えることでターゲット価格を設定
例)ネックラインが1000円、頭の底値が800円 → 上昇幅は200円 → 目標値は1200円
■ 有名な実例:ビットコインや米国株でも頻出
- 2020年のビットコイン(BTC/USD):
3月のコロナ暴落後、H&Sボトムを形成し、ネックラインを突破して10,000ドル→60,000ドルへ爆騰。 - Apple株や日経平均でも:
ボトム圏でH&Sボトムを作り、大型トレンド転換が始まる前兆となることが多い。
■ 終わりに:H&Sボトムは「買い場のサイン」か「トラップ」か?
ヘッドアンドショルダーズボトムは、市場が“売り”から“買い”に変わる分岐点。チャートにこの形が現れたとき、それは単なる偶然ではありません。
ただし、形にこだわりすぎず、背景にある投資家心理や出来高の変化も必ずセットで見ることが大切。だましもあるため、「確認してから入る」慎重な姿勢が功を奏します。
“底”を拾うのは怖い。でも、反転の構造を理解すれば、それは「狙った獲物」になる。
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